自然と暮らしとものづくり

福島県奥会津三島町2017年度第1期生活工芸アカデミーの日々を綴ります

大人の社会科見学

 

三島町猟友会の射撃大会を見学させていただきました。

わな猟を取得し、どうやら私も猟友会の一員です。

(猟銃資格がないのは私だけ…)

 

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磐梯国際クレー場。

9月17日(日)は、過ぎ去った台風の影響で強い風が吹いていました。

目標がブレるので、みなさん苦戦していた様子。。

 

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みなさまご自分の猟銃を持参してます。

銃って初めて見るな。あたりまえか。。

 

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ゲーム内容は、対抗順番ごとに獣のごとく飛んでくる皿を

狙って撃ち落としていきます。

今回の飛翔距離は10m。

長老は80歳が2名いらっしゃいましたが、お二人とも猟銃キャリアは50年以上。

ご持参の銃も車が買えちゃうくらいのものでした。

 

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クレー場の係りの方が、皿をどちらの方向に飛ばすかを調整しています。

ひと皿撃てるチャンスは2回。

スコアの付け方はボーリングと同じでした。

 

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三島町猟友会は全部で15人くらい。

有害駆除の時は、役場の依頼を受けてお手伝いに行きますが、

猟期になると各自個人的に獣を求めて山に入るそうです。

 

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雪深い三島町では、かつてはたくさんの猟師がおり、

冬場の現金収入、食料確保、環境管理、コミュニケーションとして

集団で狩りを行っていました。

深い雪に閉ざされる地域では、冬になると家に籠るようになるため、

みんなで一緒に山に入ること、協力して獲物を捕らえること、

収獲した獲物を囲んでお酒と食を共有することが、

地域にとって貴重なコミュニケーションの機会となっていたそうです。

 

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猟銃は管理や申請が色々大変なことと、

高齢になって引退する猟師さんも多いので、

銃も保管庫もお譲りいただけるとのこと。

猟銃やるなんて言ってないのに、あれよあれよとみなさまが

話を進めてくださいます(笑)どうしよう…

 

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とりあえず、マタギの文化には大変興味があるので、

冬になったら是非先輩方に同行させていただきたいとは思っています!

(狩りや食料としてと言うより、暮らしの中でのマタギの存在や歴史、

その精神性等を知りたいのです。)

 

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ご近所に住む先輩猟犬をご紹介。

英セターのリンちゃん。

 

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ポインターのジョンちゃん。

 

雪が降ったら一緒に山に入れるよう、体力つけて準備がんばりまーす。

 

 

 

祭りの夜

 

五穀豊穣

無病息災

天下泰平

 

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豊作への祈願と収穫への感謝を込め、昔から、9月15日16日は三島町

各集落にてお祭りが行われます。

浅岐の神社にも、大きな幟が上がっています。

 

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各家庭でご馳走を作り、親せきや知人を集めて宴会です。

ご近所さんにお呼ばれしてきました♪

 

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宮下地区三島神社のお祭りに行ってきました。

山車を曳いたり神輿を担いだりから始まり、

暗くなってからは三島神社前にて仮装豊年踊りが行われます。

 

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コンパクトではありますが、各々力の入った仮装を身に纏い、

輪になってぐるぐると踊り続けます。

振り付けは至ってシンプル。

同じテンポをひたすら繰り返します。

踊ること2時間弱。これはだいぶ短いみたいです。

 

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祭りの高揚感って、なんだかふしぎ。

暗闇を行灯が照らす中、長唄と縦笛と太鼓に合わせて

ぐるぐるぐるぐるとみんなが同じ動きを繰り返す。繰り返す。繰り返す。

 

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浴衣を着たり、法被を着たり、仮装をしたり、

ちょっとだけ、いつもの自分とは違う何かに身を委ね、

賑やかな音楽と雑踏の中を回り続ける高揚感。

 

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連日続く農作業や、柵や縛り、きまりの多い日常からの、

年に数度の脱出の機会でもあり、つかの間の開放を満喫する場であり、

精神的な癒しを得て、心のエネルギーを補うためのちょっと特別な場。

 

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老いも若きも、立場も環境も異なるたくさんの人が、

ひとつの円を作って同じ曲に合わせてリズムを刻む。

 

秋分の日から始まる2017年後半戦への区切りであり、ケジメでもあり、

「祭り」は、時節と気持ちを整えるものなのかもしれないなぁ。

 

 

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少子高齢化と人口減少で、昔と比べるとお祭りの規模も内容も

小さくなっているようですが、ぐるぐる踊り回りながら、

この地での暮らしのいち要素として、お祭りの大切さをじわじわ感じる夜でした。

 

 

 

 

語りの世界

 

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鶴ヶ城会津若松 


「~なんしょ」「~つぇ」「~だべした」「~だと」…

会津の方言もだいぶ耳に慣れてきました。

ヒロロ細工の先生をしていただいている、工人渡部ユキ子さんが

会津民話祭りの語り部として参加されたので、応援に行ってきました。

 

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演目は「蛇になった娘」。

家の裏の川を流れる魚(カエル?蛇?)を食べた娘は、

下半身が魚(カエル?蛇?)のようになってしまい、

周囲から気持ち悪がれるようになってしまった。

下半身が治るようにひたすら願っていた娘だが、

ある時それは大変自分勝手な願いだということを感じ、

自分がいなければ周囲を不快にさせる迷惑をかけることはないと

川に身を投げて死んでしまう。

というあらすじだった。はず。(かなりあやふやな聞き取りと記憶による。笑)

 

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昔から口承で伝わる物語の多くは、人としての生き方や道徳について

語られたものが多いです。

この話も、若干唐突過ぎて疑問が残るところもあるが、

自分のこと以上に他人を思いやることの大切さを、

ちょっと大げさに語った内容なのだと理解している。

(それにしては、悲しすぎる結末だが…)

 

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昔むかし、TVやゲームや本のような娯楽が少ない時代、

薄暗い囲炉裏の火を囲んで、おばあちゃんが孫に語っていたのだろうなぁ。

感謝の気持ち、思いやり、人助け、優しさやユーモアについて

小さい子にも理解できるように、面白おかしい物語で受け継がれてきたのだ。

自然、神様、恩、欲、頓智など抽象的なお題について、

リアルな世界と想像の間の橋渡しをしてきたのが語りなのだろう。

 

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語り部のみなさまのお話を聞きながら、

耳から入ってくるストーリーを追って頭の中で広がる物語の世界に、

ドキドキハラハラしながら聞き入ってしまいました。

 

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物語の舞台となっていたほとんどが奥会津でした。

三島町での数か月での生活から、出てくる土地(地名)がわかり、

情景が浮かび、歴史が繋がり、そこでの暮らし方や風習、伝統、気候が

イメージできるため、物語の臨場感がたまらない。

まるでほんのちょっと昔の会津の世界を旅しているようでした。

 

f:id:seikatsukougeiacademy:20170916215807j:plainユキ子さん作品

 

語り部は、この地に来るにあたって深めたい関心事のひとつでした。

話の抑揚、呼吸、方言、笑いを駆使しながら、聞き手を想像の世界に誘う。

目に見えているのは語っている姿なのだが、同じ物語を聞きながらも、

同時に聞き手各々の頭の中にはそれぞれに異なった場面がくるくる展開される。

語り手の方と、会場のたくさんの方と、不思議な時空で

一体化したような感覚になれるのでした。

 

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かつては、今のように可視化された情報はごく限られていたはずです。

自分が成長する過程で見て、聞いて、学んできた中からイメージを広げる。

この時代の想像力って、この上なく楽しい世界だったのではいかなぁ。。

行動できる範囲も限られていただろうし、見たことがない世界が多い分、

そこへの想像って無限な気がする。

(いや、人は知り得た情報からしか、想像の世界は広げられないのか?)

何でもインターネットを調べれば見えるしわかる現代と、

どっちがウキウキワクワクしたのかなぁ…

 

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季節で、日々、瞬間瞬間で移り変わる自然の中での暮らしだからこそ、

神秘的な、超自然的なエネルギーのようなものを感じる毎日の中で、

変幻自在に遊べる想像力を満喫しよう♪

 

 

これでひとつ盛げ(さげ)もうした。
※ 会津語りの最後の締めの言葉

 

 

 

 

ヒロロ採取

二百十日

立春から210日を過ぎる頃から、ヒロロ採取が始まります。

200種類くらいあるスゲのうち、ミヤマカンスゲとオクノカンスゲの

二種類のスゲを、ここ会津の方言で「ヒロロ」と呼んでいます。

 

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1本1本を綯って縄にして使用します。

現在では一般的に、ヒロロ細工の縦縄として使用しています。

大変水はけが良く、昔の雨具として使われていた蓑は

ヒロロで作られているものが多いのです。

へ~、稲藁だと思ってた。

 

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見た目はニラ、です。

沢沿いの湿地帯斜面に、ニラみたいにシュッシュッと上向きに群生しています。

育成のために、採取後2年~3年あいだをあける必要があるので、

工人さんたちはいくつか採る場所を決めているようです。

 

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今回は、三島町指折りの山男殿ガイドで、もはや2度と辿り着けない

山奥のヒロロ群生地帯にご案内いただきました。

前回の山ぶどうもそうでしたが、道なき道と、というか、

ありえないような絶壁斜面の草木を切り倒しながら

道を作って山を登っていくのです。

 

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山男殿はここへは5年位前に来たそうです。

どうしてまたこの場所に辿り着けるのですか?

という質問への回答を、困っていました。(笑)

もはや野生の勘としか言いようがありません。

本人も、なんでかわからないけどわかるのだそうです。

 

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そして、70代80代のベテラン大先輩方とご一緒させていただいたのですが、

とんでもないのです。

この年齢の方には、電車で席を譲るではないですか。

重いものとか、危険とこととか、気を遣ってしまうではないですか。

ところが、私なんて滑って転んでずり落ちて、息切れしながら姿を見失いながら

やっとやっとでついていく山男殿を、先輩方はガシガシ追って行くのです。

 

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収穫量もスピードも到底かないません。参りました。

山深い地域で育ち、暮らしている方々の身に着いた能力なのだと思います。

山道での身のこなし、荷物の背負い方、鮮やか過ぎてかっこよよすぎる。

 

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さて、ヒロロの採り方なのですが、根元を足で踏みつけて

根が抜けないようにして、葉を引き抜きます。

長さ的には30㎝以上ある方が使い易いです。

 

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採取したヒロロは、根を解して短い葉を振るい落とし、直射日光で1日乾燥、

その後風通しの良い日陰で乾燥させます。

アカソモワダと比べると、ヒロロ細工の素材の中では材料準備は一番簡単かも。

これでやっとヒロロ細工の材料採取が全部完了しました。

 

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いや~大変だ(笑)どれも厳しい自然との闘いです。

でも、しかし、これが大変楽しいのであります。うん。

だってこんな山に入るなんて、レジャーではなかなかできない。

ハイキングがいかに人工的なレジャーかを感じます。 

 

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すでにある道を歩くのは安全だし楽だけど、

どっちに何があるのかわからない、どこを歩いてもいい世界に

道を開いて進んでいくワクワク感ってたまらない!(超安心のガイド付き)

下界(?)では出逢えることがないような、小さくて大きな、

未知数に広がる自然界にたまらなく興奮します。

 

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ものづくりはもちろんだけど、そのものが出来上がるまでにある、

見に行かなければ得ることがなかった世界と出逢えることが、

何よりも尊い価値だと感じるヒロロ採取でした。

 

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山の神感謝祭

 

 

9月10日は、三島町編み組細工が伝統工芸品に認定された日。

この日にちなんで、編み組細工を取り囲む三島町の山に感謝を届ける

祭事を行っています。

 

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雨のたびに勢い良く伸びる雑草。

吸い込まれてしまいそうな幾千に輝く星空。

どこからともなく不法侵入する限りない虫虫虫。

太く高く伸びる蔓から血潮のように溢れ出す樹液と水。

一粒の米から万倍の実りを結ぶ稲穂の輝き。

 

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暮らしを取り囲む自然に畏敬の念を覚え、

当たり前のようなこの流れの中から、確かに、間違いなく

超自然的な何か、神のようなものが宿っているような感覚がある。

私たちがこうして生きていられると言うことは、

まさにこの三島町の自然、山の神の恵みがあるからなのだ。

 

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 実りを控えたこの時期、三島町の各集落で祭事が行われます。

都内で会社勤めをしながら生活しているとき、「神」の存在や

「自然」の存在を近くに感じるのはごく稀で、

祭りについても「イベント」という感覚があり、

恥ずかしながら感謝や祈りの機会という認識は希薄だった。

 

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自然の恵みにより生かされているこの地域での生活からは、

自然と人間の暮らしが常に同等のものであり、

山の神の力(自然の力?)によって生かされているのだという感覚が

近くなったような気がします。

 

編み組細工の活動拠点となっている生活工芸館の前に

生活工芸友の会、伝統工芸士、工人さん、アカデミー生等関係者が集まり、

祝詞と玉串を捧げました。

 

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神主は先日の山ぶどう材料作りをご指導いただきました

伝統工芸士の青木基重さんです。

基重さんはかなり多才で、数あるお仕事?の本職は宮司さんなのです。

山の神感謝祭の祝詞は、毎年すべて基重さんが考えて作られています。

自らも編み組細工に携わるいち工人として、ふたつと同じ素材はない

自然物との出逢い、その恵みに対する思いが溢れた内容でした。

 

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また、宮司業と並行して小学校の教員を経て、校長まで勤め上げられていました。

編み組細工との出逢いは、定年後から20年。

もちろん田んぼも畑も耕し、かつてはたばこ栽培や建設業なども

されていたそうです。

 

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編み組細工に携わる人の多くは、作ることが中心の工人さんです。

多くは身近な人が作るのを見て覚え、試し、失敗し、研究して、編みだし、

作るを繰り返してきた工人さんたち。

そのため、作品を作ることには長けていますが、作り方を「教える」という

ことについてのプロではありません。

マニュアルもなければ正解があるわけでもない。

それぞれの感覚と手で、その時の素材の声を聞きながら作っていくもの。

 

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そんな中「伝統工芸士」という立場にいる工人さんには、

伝統的技術を伝えていくという任務があります。

基重さんはもと校長先生ということもあり、教え方が大変分かり易く、

計画的に整然とご指導をしてくださいます。

 

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伝統工芸士というお立場ながら、ここ数年はスランプで、

なかなかご自身が納得できる作品ができないことが続いているそう。

しかし、そんなときでも立ちどまるのではなく、ただただ日々向き合うこと。

ダメな時の自分を受け入れた、ひとめひとめ編み続けること。

 

 


努力と忍耐

 

 

「伝統」を伝統として守り、伝えていくために、コツコツと、

小さな努力を重ねていくことの大切さを教えてくださることと、

多様なお立場から、生涯現役で活躍し続けるお姿に勇気を頂ける存在です。

 

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材料を恵んでくれる山への感謝、編み組細工を繋いだ歴史と先祖への感謝、

現在こうして携われることへの感謝を忘れずに、

一日一日を大切に過ごしていきたいと思います。

 

 

 

 

山ぶどう制作開始

 

クルミの立ち上げを2つ終え、ついに山ぶどうに入りました。

山ぶどうの籠は最近人気があり、「山のヴィトン」と呼ばれています。

使えば使うほどに、いい風合いに黒い艶が浮かび上がり、

まさに大切に大切に時間をかけて「育てる」バッグです。

 

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先日の材料採取の際にも報告しましたが、険しい山に入って

材料となる山ぶどうの皮を採ってくる作業はとても大変でした。。

現在作り手となっている工人さんたちも高齢化が進み、

体力的にも山に入ることが難しくなってきていたり、

人気の影響から需要が増え、材料の生育が追いつかない状態になっています。

そのため、三島町産山ぶどうで、高度な伝統的な技法で作られている

ものは年々値段も上がり、希少な商品となっている傾向。

 

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一流の技を持つ伝統工芸士さんから、その技術を直々にご指導いただきます。

材料の準備については、多数いる三島町伝統工芸士会の会長を

務められております青木基重さんです。

「イイモノができて当然」のお言葉には、ちょっとしたプレッシャー(笑)

 

 

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一番基本的な材料の幅揃えから。

何事も、下準備が大切です。

この材料の下準備の良し悪しで、完成した時の仕上がりが決まります。

 

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編みひごとなる山ぶどうの皮を鞣して、ひとつひとつ同じ幅(今回は7mm)

に切り揃えていきます。

材質がクルミより肉厚で、蔓状なので節もたくさん入っています。

繊維に沿って切っていくことが大切なので、くねくねとした曲線に

均一な幅で鋏を入れていくのは大変。

 

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また、外皮(くそかわっと呼ぶ)が何重にもついているのを

丁寧に剥がしていきます。

作業としては単調なのですが…ひとつひとつ表情の異なる自然素材を、

皮の状態、色合い、繊維の向き、長さなどを吟味しながら

使える素材を選別していくだけでも結構な労力。

ひとつの籠を作るために材料を揃えるのにかかった日数は合計7日。

なんとまぁ。

 

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特に今年は雨の日が多く、湿気との闘いでした。

山ぶどうに限らず、編み組細工で使用する素材は山から採ってきた

自然素材なので、乾燥させて状態良く保存したいのですが、

栄養満点の自然素材はカビの繁殖環境にも最適(笑)

 

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自然から切り離してからも、まだ強烈に生命の残り香を纏う素材。

素材のひとつひとつをよくよく観察し、対話して、

素材が持つ一番のいいところを惹き出す。

私が長年嗜んできたいけばなと同じだなぁ。。

できあがった作品は、まさにその時の自分の分身(=花体)。

 

初めから完璧は求めないけど、今の自分の、精いっぱいの籠が

作れるようにがんばります!

 

 

 

 

第2期アカデミー生募集開始

 

平成30年度第2期生活工芸アカデミーの募集が開始しました。

少しでも興味のある方は、もしかしたらこのブログと出逢うかもしれないのかなぁ。

多少好き勝手感想を盛り込みながら、アカデミーの日々を綴っているので

応募の際の参考になればと思います^^

 

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三島町からの募集要項はこちらとなります。

ここで、町の募集意向とは関係なく、第1期として現在受講している立場から、

「私が」感じたこと、思うことを書いてみようと思いました。

 

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編み組細工に興味がある、移住地を探している、

自分を活かせる仕事を探している、農山村生活に興味がある、、、

様々な理由で生活工芸アカデミーに関心を持つ方がいると思います。

 

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私の参加理由は、かなり大きくまとめるとこんなところ。

 

〇 生きること、暮らすこと、働くことについて再考するきっかけ

都内での8年間の企業勤めから、これからの自分の生き方と幸せのあり方を

模索して、自分を見つめ直す機会を求めていた。

 

〇 「自らの手で創る」ことに集中できる環境と機会

買えば簡単に手に入る「もの」を、原料から作る工程に興味があり、

料理も裁縫も雑貨も、自分でものづくりをする時間が何より好きだが、

忙しない日常でどれもが中途半端な自分に抵抗があった。


〇 自然の恵みに溢れた環境での暮らしへの憧れ

自然が好きで、季節の変化がうれしくて、そのサイクルの中で

生きていることを実感できるような生活をしたい。

 

このような点から、転職やら結婚やら移住やらを検討していたところ、

ふとしたご縁でこの生活工芸アカデミーに参加することとなりました。

 

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5月の開始から約4か月が経とうとしています。

そして日々、参加した理由と目的が、じわじわと、着々と叶えられつつあります。

今、わたしはとても幸せです。

 

具体的にこれができるようになった、これが手に入った、というような

ことではなく、自分はこういうことが好きだし大切で、

いいところも悪いところも含めてこういうことを感じる人間で、

これからこのようなことを大事にしていこうという、

すごくシンプルで当たり前の生きる指針?核?のようなものを

丁寧に確認して、積み上げられて行っている実感があります。

 

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三島町としての、編み組細工技術の継承や、町への移住定住など

様々な期待があることは十分に感じております。

 

しかし、私が現時点でこのアカデミーに参加してよかったと感じ、

次期生以降の方に参加をおすすめしたいと思うのは、

この環境での暮らし、町のたくさんの人との交流、

農作業や森林作業、ものづくりに関わるあらゆる作業、

それに携わる工人さんたちの哲学、歴史や伝統が培ったものへの敬意など

すべての一連から、自分と向き合い、もしかしたら今まで

出逢えなかったり、気づくことがなかった大切なことに出逢えるかも

しれないという機会としてなのです。

 

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こんなの、人によってどんなところにあるかなんてわからないし、

どんなところにでもあると思うのですが、

もし、参加にあたってこのアカデミーの内容に少しでも興味を持ち、

何か惹かれるものがあるとしたら、目的が明確ではなくとも、

ここでのこの暮らしや生き方から、これからの何かが見つかるかもしれません。

 

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正直、現段階だと、このまま三島町に居続けるのか、

期間終了後の仕事はどうするのか、編み組細工とどのように関わっていくのか、

不明確な未来に向けて漂っている状態でもあります。

 

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ただ、なんとなく見えてしまう5年後に、理想が見えない不安の中

働いていた東京での暮らしと比べると、

日々の暮らしを着実に噛み締め楽しんでいる現在は、

見えない未来への不安より、充実した毎日がとても幸せなのです。

 

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そんな三島町の毎日が、きっと半年後、1年後の自分を作って、

来るべきワクワクした未来に導いてくれるのだろうと信じています。

 

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重ねて言いますが、アカデミーには何の保証もありません。(と私は感じる)

町としてもまだまだ立ち上がったばかりの制度なので、

アカデミー終了後のフォローについては模索段階なのだと思います。

だからこそ、三島町が誇る莫大な魅力を秘めた編み組細工の発展に貢献できるし、

これからの三島町の未来への挑戦のチャンスが溢れていると思います。

 

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たくさんの好奇心、挑戦、迷い、旅…

アカデミーの存在を知ったラッキーなひとに、

無限の可能性に溢れた三島町との出逢いがありますよう。