自然と暮らしとものづくり

福島県奥会津三島町2017年度第1期生活工芸アカデミーの日々を綴ります

多様性の運動会

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快晴!スポーツの秋ですね♪

寒くてプルプルしていた先週から一転、日中は30℃近くまで気温が上がり、

絶好の運動会日和でした。

 

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続く大雨で3年ぶりの開催となった町民運動会。

実は中学高校と運動会体育祭のない学校だったので、小学校ぶり?!

小学生の鼓笛隊とか、集落ごとプラカードに並んでの入場行進とか、

選手宣誓とか準備体操とか、本格的な運動会です。

なんだかすごくワクワクする!雰囲気だけで満足です(笑)

 

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各集落からたくさんのひとが集まりました。

なんと、見たところ浅岐集落の参加者が町内で一番多いかも!20名強の参加。

事前練習なんてものはありません。

その場で出場選手を募るのです。

 

わたくし運動が苦手です。特に団体競技

体育の授業とか、いかに逃げるかを考えていました。

それが、これだけ幅広い老若男女が入り乱れて一緒になって運動を楽しむ。

この光景が、なんだかすんごい新鮮で、感動的でした!

 

 

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今思うと都会での生活はたくさんのたくさんの人がいて、

その中で付き合う人、場所、コミュニティを選択肢して、

居場所をいくつか形成していました。

たくさんの人の中で揉まれているつもりでも、実は職場もプライベートも、

好きではない人、あまり関わりたくない人とはある程度距離を持って、

必要最低限の付き合いをしていたのかもしれない…

 

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人口1600人強の三島町

以前勤めていた職場より小さな町では、ここで暮らす人同士が、

お互いの欠点も含めて受け入れ、認め合う優しさがあるように感じるのです。

 私が三島町で、浅岐での暮らしの中で感じる安心感。

その優しさは、「人を排除しない」ということなのではないだろうか。

 

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三島町に来る以前、大手企業の人事部に勤めていた経験から

ぼんやりと感じていたのは、東京ではビジネスとして価値がなかったり、

一度競争のレールから降りてしまうと排除されてしまうような、暗黙の習慣だ。

利益を優先する企業という組織体制の中で、無駄や非効率を整理していくことは

重要だが、そこはかとない冷酷さのようなものが漂っていたように感じていた。

(ちょっと大げさな表現だし、私が見てきたのは社会のほんのかすかな一面

でしかないので、だいぶ誤解と憶測と偏見が含まれていると思う。)

 

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一方、この三島町では、好き嫌いや合う合わないという感情があったうえでも、

お互いを受け入れて暮らしているように感じる。

その中で、暮らしていかなければならないのだ。

合わない人も、気に入らない人も、認めたくない人とも同じ

コミュニティとして付き合う。

ここに、ものすごい学びの機会があるのではないか。

 

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国籍も年齢も職業も、多様な人が集まる都市部こそ人種の坩堝であり、

多様な個性や文化や価値観や思想に触れ、近年注目されている

ダイバーシティ=多様性」を育む機会があるように思われるが、

そこで私は上記のような無意識の選択をしていたのかもしれないのだ。

どこかで面倒なこと、不快なこと、嫌なことはなるべく避け、

効率的な人間関係や時間の過ごし方をしてきたところがあったのかもしれない。

 

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親族以外で、幼稚園児と戦争を経験したおじいおばあ、

中学生と中間管理職、小学生と移住夫婦…

三島町という限られた環境の中で生まれ育ち、もしかしたら視野や経験が

狭くなっている集団であるかもしれない。

しかし、半ば強引にでも、半ば義務として放たれた環境だからこそ、

「人を排除する」のではなく、「認める」優しさや心の成長に繋がり、

人間性がより豊かになるような気がするのです。

多少(余計な?)お節介を含めて、たくさんの人が自分のことを気にかけてくれ、

見守っていてくれ、存在を認めてくれているのだという、

当たり前のようでかけがえのない、至極究極の安心感と幸せを感じます。

 これこそ、最強に多様性を、ダイバーシティを育む環境なのかもしないと、

みんなが笑顔で盛り上がる運動会を見ながら心が熱くなりました。

 

 

 

 

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まだお米を買ったことがありません。

ご近所さん、町内の方が、米はあるかと日々声をかけてくれます。

自分たちで世話している畑からたくさんのお野菜が採れますが、

それに負けないくらい(食べるのに苦労するくらいの)お野菜が

日々どこからともなく届きます。

最近の新たな移動手段でもあるヒッチハイクは、

今のところ100%で一番初めに通った車が停まってくれます。

虫の異常発生、畑の管理、包丁研ぎ、ごみの仕分け、車の送迎、

食料の買い出し、留守宅の管理、食事の準備・・・

たいしたこと何もできません。

今は何の経済価値も生み出していません。

 

でも、ここだったら、生きていける。

たぶん、きっと、死ぬことはない。

 

助けてくれる人が、たくさんいる。

何の利害関係もない周囲の方々に、こんなにも信頼と安心を覚えられること。

とてつもなく貴重で、尊いことだと思います。

 

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都会では、生きていくためにはお金が必要不可欠なところがある。

お金がないと、寝るところも食べるものもサービスも人付き合いですら

失われるように不安を感じている人が結構いるのではないか。

そこからはみ出さないように、はぐれないように、必死についていくために働く。

 

他人を受け入れること、認めること、信じること、頼ること、

助けること、助けられること、任せること、働きかけること、、、

人とのつながりでこそ「自分」という存在があって、生かされているのだ。

 

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運動会以上に長く続いた浅岐の反省会

 

がむしゃらに働き続けるでも、自分を強く主張するでもなく、

嘘のない頑張りすぎない状態の自分で、

自分を取り囲む環境と人を大切に、丁寧に向き合っていくことが、

安心した、優しい未来へ導いてくれることを学んだ気がする、

とっても素敵な運動会でした。

 

運動会の詳しい様子が三島町HPにありました♪

 

 

 

浅岐名物カメムシ

 

f:id:seikatsukougeiacademy:20171010080705j:plain  黒っぽい小さな点々がカメムシ

 

カメムシが、、、大大大大大大大量発生中です。

毎年温かくなる春と、寒くなり出す秋に起こります。

寒い冬を越すために、温かい隠れ家を求めて人家に潜り込んできます。

 

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いや、すんごいの!!

もう、もう、もう、壁とか窓とか網戸とか空一面に、びっしり(笑)

歩いていると避けられずに激突して、虫も自分もお互いにパニくる。

気持ち悪さをはるか越えて、驚異的な感動ですらあるww

 

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窓を完全に締め切っていても、どこからともなく部屋に侵入してくるのです。

この忍び具合、すご過ぎです。忍虫カメムシ

 

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歩く姿は案外カワイイと思うのですよ。

危害を加えない限りは臭いもないし。

・・・とか言ってられないくらい、異常発生です。

(私の人生史上の異常であり、浅岐では毎年恒例)

 


かわいそうだから、殺さずに家から出してあげましょうね~。

とか、はじめはそんな感じだったのですよ。いのち大切だし。

もはや退治しても退治しても終わりないので、教えていただいた

浅岐生活の基本、カメムシ発生時の対策を記録しておくことにします。

 

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・ペットボトルに洗剤(食器でも洗濯でもなんでも良い)水を作り、

 カメムシを発見したらキャップの部分を下からくいっと当てて

 ペットボトルの中に落とす。
 ショックで臭いを発しても、洗剤の香りと、ペットボトルで蓋をするので

 気にならない。透明なので、溜まっていく亡骸が目に付く。

 

・バケツに灯油を入れ、発見したらちょっと長めの細い棒

 (野菜の支柱に使うやつ)でホイホイしてバケツに入れる。

 洗剤はすこし悶えるが、灯油は即死。

 手が届かない天井とか高いところに、ホイホイ棒はすごく便利。

 ハンド箒とちり取りも使うが、元気が良くて案外動きが早いので、

 戦闘態勢になる必要がある。

 

・布製ガムテープ(紙ガムテだと粘着力が弱すぎて、貼りついても腹筋で

 テープから逃げようとする)で1匹ずつペトペト捕っていく。

 生きた状態で貼りつくので、下手すると臭いを発するから、

 貼りついたらなるべく早くガムテープで密封する。

 小数時には有効だが、浅岐でこれやってたら日が暮れる。

 

日中の温かい時間帯は活動が活発でぶんぶん飛んでいるので、

朝方を狙うと捕獲しやすいそうです。ふむふむ。

 

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私が今年畑でパクチー育ててても、浅岐の人(アカデミー同期もか)

には一切受け入れていただけませんでした。

パクチーカメムシの臭いだから。

おーーーーなるほど。言われてみるとそうかも(笑)

浅岐カメムシ絶賛体験中ですが、パクチーを愛することを止めるつもりは、

とりあえずない。

 

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最近アカデミー宅の窓に鬼蜘蛛さまをペットとして飼っております。(非公認)

毎夜現れるカエルさまもいます。

鬼蜘蛛さまはせっせとカメムシの捕獲を手伝ってくださり、

カエルさまはうるさい羽蟻の捕獲を手伝ってくれる、大切な共存関係。

大自然の中での浅岐生活は、虫とも爬虫類とも獣とも協力して助け合って、

一緒に生きていくことを、実感する毎日。

 

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楽しいですな~~~。

 

 

 

 

魔女になりたい

 

ブログをきっかけに素敵なご縁をいただき、

山形県鶴岡市朝日岳の麓大鳥集落にある、植物療法とお宿をされている

青嵐舎さんにお邪魔させていただきました。

 

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自然いっぱいの浅岐生活での目標のひとつ、野草雑草の活用に

興味があったこともあり、植物療法の講座を受講させていただきました。

植物療法とは、植物が持つ力を借りて命を健やかに保つ術です。

火傷に桑の葉貼るとか、湿疹に枇杷の葉擦り込むとか、

疲れにオオバコ揉み貼るとか、精神安定にハーブティーとか、

そこらへん含めた漢方、薬草(ハーブ)、森林療法等、

自然が持つスピリチュアルの部分もちょっと含めての、

化学的ではない療法と理解しています。

 

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意識高い系?オシャレ系?スピリチュアル系?

いやいや、自然の中にあるもので、生きるための基本である

「健康」を手作るのですよ!

元気や健やかの種が、自然の中に転がっているなんて、

すごいことだと思うのです♪


今回教えていただいたのがこちら。

・スギナのネイルオイル

・葛の花の化粧水

・オオバコの万能軟膏

 

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どれもそこらへんにある!

スギナやオオバコなんて、畑の厄介者でしかない(笑)

そして、繊維に続いて登場した葛。今度はその花の利用方法だわ。

 

講座中に出していただいたのが、

葛の花を漬け込んだシロップと、なんとしなの木の花のお茶。

葛ってデビルプランツって呼ばれちゃうくらい厄介に蔓延る雑草中の雑草なのに、

根っこから茎から花まで、全部に活用方法がある、実は優秀な植物なのですよ。

 

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そしてそして、しなの木のお茶!しなの木って、モワダですよ!

しなの木は2種類あって、そのうちのオオバボダイジュの皮がモワダになり、

お花がお茶や、潰してゴマージュやピーリングに使われるリンデンになるのです。

 

今回教えていただいた野草は、どれも医学的に研究され、

認められたハーバルレメディーだそうです。

これも、昔の人は生活の中にあるものから採取して、色々なものを使って試して、

偶然から発見してきた自然療法なのですよね。

すごいな~。

 

f:id:seikatsukougeiacademy:20171009101252j:plain 講座後にいただいたランチ

 

そういえば、がんに効くと野ぶどうの実の焼酎漬け、

山で戦った蝮の焼酎漬け、樹皮を剥がしたキハダは胃腸や二日酔いに、

春に腱鞘炎がひどくて相談したら、道端に生えているヨモギの葉っぱ

採取してもぐさお灸を教えてもらったり、

浅岐生活にはたくさんの植物療法が転がっていたことに気付く。

一番センシティブに守ろうと、保とうとしている「健康」だって、

自然からの力を借りれば自給できるのかもしれない。

自然って暮らしを充実させるための実験材料が多すぎて、おもしろいな~~。

浅岐生活がますますワクワクしてきます!!

 

 

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青嵐舎さんで宿泊をしたかったのですが、急な訪問で予約が埋まっていたため、

ご紹介をいただいた知憩軒さんに宿泊。

お料理の美味しさと女将さんの人柄から、農家民宿で注目度の高いお宿です。

 

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期待のお料理は、どれも調味料を駆使した凝った味付けはなく、

とてもシンプルな和食。それが、すごく、美味しい。

素材の触感、味付けの度合い、心地よい温度、盛り付けのバランス…

本当に、食材と対話することで、その素材の一番の状態で完成された

料理なのではないかなぁ。。

 

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これ、いけばなと、編み組細工と一緒だ。

花=素材=食材に従うこと。

経験を積んで、技術を習得して、素材の「注文」に応えることこそ、

素材が持つ一番の魅力が生きてくる。最高の状態。

しなやかで、とても強い芯のある生き方をしている女将さんの

生き方が凝縮した、味わい深いお料理でした。

鶴岡訪問の際のお宿にはぜひ訪ねてみてください。

何か心温まる出逢いがあるかもしれません。

 

 

 


もうひとつご紹介。

色々お話させていただいている中での興味関心から、

青嵐舎さんからも、知憩軒さんからもご紹介いただいた

ハーブ研究所スパールさんにも立ち寄ってみました。

こちらの代表を務められます山澤清さん

 

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日本全国の固定種、在来野菜の栽培採種、その品種を利用した

化粧品の販売やレストラン経営、環境問題の研究等

とりあえず固定種に関するあらゆる研究と活動をされているすごい方です。

 

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最近オープンした在来野菜専門のレストランで食事をしました。

メニューはすべてお野菜のみ。好みはありそうですが、

多種多様なお野菜本来の味だけをたーーくさん楽しめるユニークなプレート。

調味料も極力少数少量厳選している感じで、素材本来が持っている

甘味苦味渋味辛味酸味…を楽しく素直に受け入れられる、なかなか貴重なメニュー。

 

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何年か前に野口勲さんの著書「タネが危ない」を読み、

F1種や遺伝子組み換えへの疑念、ミツバチを代表する自然サイクルの異常、

農法や土、水、火などへの興味関心のきっかけとなりました。

植物本来の使命でもある、種子から子孫を残し、植生を守り、

いのちを繋いでいくことまでもが、資本主義の対象となっているというのは

すごく怖いことだと思います。

だからと言って、すでにその仕組みの中に取り込まれている

無力で小さな自分ができることが何なのか考えたところ、

残念ながら劇的な何かをできるなんてことは全然ないのです。

 

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ただ、そういった事実や情報に意識を向けながら、

日常生活の中で触れるものひとことについて、これからの未来のために、

選択していくことが大切なのかなと思うのです。

 

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固定種に関する幅広い活動をされている山澤さん。

第一者として(?)とても熱心に精力的にお話を聞かせてくれました。

三島町で乱採により枯渇し始めている山ぶどうについても、

この方のお力が必要となる日がくるのかもしれないなぁと、

ちょっと感じたりもしました。

 

有機野菜、オーガニック、自然農法、養蜂、、、

栽培方法や収穫物に関心が行きがちですが、その始まりとなる「タネ」に

注目してみることで、またひとつ違う世界が見えてくるかもしれません。

 

 

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特に詳細な予定を組んで出発していたわけではなかったのですが、

行くところで次から次に繋いでいただいたご縁により、

とても素敵でワクワクする時間を過ごさせていただきました。

 

山形県鶴岡市庄内エリアは、面白そうな取り組み、場所、人が

まだまだたくさん隠れていそうです!

機会があったら今後もぜひ遊びに行きたいと思いまーーす♪

 

 

 

 

 

一粒万倍

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10月4日 中秋の名月

日中はどんより雨でしたが、お供え物に惹かれたのか、

ぽっかりまんまるの月明りを見せてくれました。

 

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栗、クルミ、きのこ、サツマイモ、里芋、カボチャ、大豆、柿…

どこからともなく金木犀の香りがしたかと思うと、ここ数日で気温が下がり、

ついにこたつとストーブを使い始めました。

 

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長雨と日照不足で例年よりちょっと遅れていますが、

三島でも稲刈りのシーズンに入りました。

5月に田植えのお手伝いをさせていただいた田んぼで、稲刈りのお手伝い。

たわわに実った稲穂は、先日の台風の影響で倒れているところが多いです。

 

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稲刈機でギュンギュン刈っていく際、あまりにも倒れていたり

機械が入れない刈り残りを手刈りでお手伝いしていきます。

手刈りした稲の根元を昨年の乾いた稲で束ね、

束ねた根元を二つに割って、はざかけをして干します。

秋晴れの空の下、よくよく日光に当てて乾燥させてあげます。

 

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米って、田んぼって、稲作って、日本のいのちですよね。

狩猟生活から農耕生活が始まったことで、

国家が生まれて宗教が生まれて文明が生まれて文化が生まれた。

自然と調和した日本の歴史や暮らしを辿っていくと、

すべてが稲作に繋がる気がします。

食材として以上の、暮らしのリズムを司る倫理や道徳や哲学があると思うのです。

 

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今は田植えだって除草だって農薬散布だって稲刈りだって、

広ーい面積の田んぼを機械でバーっと作業しちゃうけど、

これが手作業だとそれはそれはものすごい労力です。

ちょっと昔は、田植えや稲刈り期には学校がお休みになったりして、

家族総出で、お隣近所さんで作られる「結」という単位で、

たくさんの人が協力して助け合って共同作業をするのが

田んぼでの風景だったそうです。

 

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今年から肥料を変えたおかげで実り過ぎて重いうえ、

台風の強風で地面にべったり貼りつくように倒れた稲。

腰を曲げて黙々と刈り取り束ねての作業です。

時たまうーーーーっと上向きに腰を伸ばしたときに、

目に飛び込んでくる秋空が気持ちいい♪

刈り取った稲の間から、びっくりした虫たちがぴょんぴょん飛び出します。

稲の足元から野ネズミの巣を発見(↑上記写真)

 

 

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寒かったり暑かったり、雨が多かったり少なかったり、風が強かったり

晴れたり曇ったり・・・

いのちを繋ぐための貴重な食料の米。

豊作への願いを込めて、集い、歌い、踊り、祈り、、、

その地域性を色濃く反映した伝統的なお祭りやものがたり、

芸能が生まれ、人間性を育んできたのだ。

 

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今回稲刈り中に、突然大粒の雨が降ってきました。

乾燥第一の刈ったばかりの大切な稲が濡れちゃう!

猛スピードで撤収作業をしていると、どこからともなく

稲に掛けるブルーシートを持ってきてくれたり、

重たい籾米を運んでくれたり、ぽつりぽつりと人が集まってきて、

あっという間に終了。

まわりの人もみんなお米を作っているから、突然の困った事態には

自然とみんなが、最適な動きで協力して助けてくれる。

頼まなくても、どこかで誰かが見ていて、気付いた人が助けてくれる。

自分が食べるための、自分が管理する、自分の田んぼかもしれないけど、

いざという時は、近くにいる人みんなで守る大切な田んぼなのだ。

すごいなぁ。

すてきだなぁ。

 

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共同作業の後は、一緒に作業をした者同士収獲を喜び、労うひとときです。

お手伝いしたお家でご馳走を用意してくれました。

みんなで汗をかいて作業し、みんなで美味しいものを囲み、

みんなで楽しい時間を共有する幸せ。

当たり前で、すごく大切な、自然と人と地域との繋がりいっぱいの

稲刈りでした。

 

 

だから、お米は、オイシイのだ♪♪

 

 

 

 

マレビト 久保田節子さん

 

強く心を動かされ、人生や価値観に何かしらの影響を与え、

人生の師となり、転機となり、支えとなり、理想となる存在。

出逢えるか、出逢えないかの貴重な存在。

 

職業、立場、年齢、性別、場所、置かれた状況がバラバラの、

三島町の様々な人が共通してこの方を慕い、尊敬していることは、

三島町に来た当初から所々頻繁に感じていました。

 


一体どんな人で、何がこんなにも、たくさんの人の心を捉えるのか…

 

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私たちが住む浅岐集落の更に奥、三島町でも一番山と雪が深い

間方集落の一番奥のどん詰まりに、その方のお家があります。

 

 

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ヒロロ細工初代伝統工芸士 久保田節子さん。

 

まだ編み組細工が工芸品としてのスポットを浴びていない時代。

経済的な価値が見出されない時代から、深い山中での生活の用のため、

家の中で当たり前に続く編み組の技に触れて過ごされてきました。

三島町編み組細工のヒロロ細工を大成した第一人者である節子さんですが、

現在は自宅から出ることも少なく、その制作の様子と出逢えることも

限られています。

 

決して多くは語らない。むしろ口数は少なく、

とても控えめで、謙虚で、小さくて、小さくて、小さいおばあちゃんです。

多様な言語を繰り広げるのでもない。

編み組の技術、思想、哲学を言葉にして説明するわけでもない。

ただ、そこに、居る。

小さく丸くなって、座っている。

 

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三島町にはたくさんの工人さんがおり、たくさんの作品が日々生まれています。

そんな作品が並んでいる中でも、節子さんの作品は誰が見てもわかる、

不思議な空気を纏っています。なんだろう。。

編まれたヒロロが、モワダが、アカソが、いのちを注がれ、

生き生きとした「気」を放っているのです。

アカデミーの講師をしていただいている先生方にとっても、

一目も二目も置くような技術力と人間味のあるお方です。

 

 

節子さんとお会いした時に、ふと、

この人は「マレビト」なのではないかと感じました。

民俗学者折口信夫の記録の中に、「マレビト」という概念が登場します。

マレビトとは、あちらの世界とこちらの世界を行ったり来たりする伝道師の

ような存在だと解釈しています。

(研究により解釈が多用なので、私個人の理解です)

あちらの世界とこちらの世界は、決して死と生、イタコや巫女、

霊能力者のようなものではなく、もっと広義に、異なる分野、土地、学問、

思想、言語、または自然や神や文化や歴史や宗教といったような、

言葉にはなっていない抽象的な感性や空気感、世相や潮流、

過去や未来のようなものも含むと思います。

たくさんの人にとって漠然と感じていることや、

気付かなかったり通り過ぎてしまうような、

物質や情報として存在していないような抽象的なものを、

ヒロロ細工や生き方という媒介を通して通訳する役目を持った存在が、

「マレビト」であり、節子さんなのではないか。

 

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節子さん作成の皇后陛下献上作品

 

 

職人でも、作家でも、先生でもない。

三島町のいち農家であり、いち工人の節子さん。

節子さんと接してきたたくさんの人が、

節子さんの作品に触れたたくさんの人が、

共通して節子さんから学び、心を打たれ、感じる何かは、

生きる上で何かを示唆するメッセージなのかもしれない。

 


人への敬意、ものへの敬意、自然への敬意、、、

置かれた環境でできることを丁寧に繰り返していく暮らし。

機械的に作られた「均等なキレイさ」ではない、

人の手から生まれる「均等なキレイさ」。

それはきっと、平らな心で編まれた、節子さんの人柄の象徴なのだと思います。

すごく当たり前の、すごくシンプルな、でも私たちが日々ふと忘れているような、

大切な何か。

 

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平成19年に授与された叙勲

 


そのメッセージが何なのか、もっともっと知りたいと感じさせていただける、

とても素敵な存在であり、心打たれる作品なのです。

三島町で、この方と出逢えたことに、感謝。

 

 

 

山ぶどう籠立ち上げ

先週は、材料を揃えた山ぶどうの立ち上げに入りました。

材料の幅と長さ準備が5割、立ち上げが5割といったところでしょうか。

 

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立ち上げを教えていただいたのは、以前モワダ伐採でもお世話になった

生活工芸友の会副会長、伝統工芸士の五十嵐喜良さんです。

三島町ふるさと納税返礼品の山ぶどうバッグは、

この方が結構作っていることが多いです。

喜良さんの作品は、どれもきっちりしゃっきり、

しなやかな佇まいをしている印象があります。

口数は多くありませんが、それぞれのペースと癖を尊重しつつ、

細かいコツを丁寧に気にかけてご指導くださる素敵な先生です。

 

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山ぶどうバッグに入るまでに、ほぼ同じ型と編み方のくるみバッグに

3個ほど挑戦をしてみたので、要領としてはある程度自分で進めることができました。

しかし、やはりくるみ皮より山ぶどう皮は癖があります。

くるみの皮はあまり繊維の流れを気にせず、同じ幅になるように

切りそろえても編めましたが、山ぶどうは繊維の流れに沿わないと割れてしまうため、

節やまがりに沿って幅揃えをし真っすぐに編むので、

素材同士に隙間が空かないように詰めていくのはなかなかの力作業です。

 

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腱鞘炎悪化。

もう、もう、特に朝起きると、手がむくんで指がばっきばきなのです。

毎日手が筋肉痛のような感じで、日々逞しく成長している気がする…

指先も木のタンニンが浸みこんで黒ずむし、皮膚はパキパキ割れてくるし、

なんだかどんどん職人みたいな手になっていきます。

(数個作ったくらいで職人の手、なんておこがましい。笑)

 

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でも、それでも、たまらなく夢中になれるのです。

手の限界も、トイレに行くことも、のどが渇くことも、お腹がすくことも忘れて、

やり出したらただただ完成が楽しみで楽しみで、

無心になって作り続けてしまいます。

 

 

そして、久しぶりに悔しくて泣きました(笑)

何がって、ひとつの箇所で、理想とするように編みたいところを

何度やっても同じところで同じ失敗を繰り返す自分が苛立たしいのです。

失敗理由はわかっているから、気持ちは次は気を付けようとしているのに

手の力が自分の気持ち以上に掛かってしまい、

自分の気持ちと行動が一致しないことが腹立たしくて、めちゃめちゃ悔しい。

これ、私がライフワークでやってきたいけばなの中で何度もぶつかった壁です。

こうなりたい、こうするべき、もっとできる、とイメージする自分と、

現状の自分(にある技術、能力、人間性…)との差なんだよね。

この差を感じることが、これからの成長になるはず。

結果は満足できてないけど、めげずに進めた自分エライ。

と、自分と戦うことが好きな、ストイックな私。もっと楽に生きたいわぁ…

 

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私はものづくりの(いけばなの)、こういうところが好きなのです。

未熟なところも不器用なところも足りないところも、完成作品は、

対象に向き合っているときの自分が全部凝縮した結果で、

作りながら自分の不足と真正面から向き合えて、反省や改善が見える。

作ることに向き合うたびに、もっと理想的な作品に(自分に)深めていける

ところが、終わりのない最強の楽しみなのではないかなぁと思ったりするのです。

まぁ、だからこそ、それって相当しんどくて、辛いとも感じるわけですがね(笑)

 

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改めて、これだけ時間を忘れて自分を忘れて夢中になれて、

没頭できることがあることって幸せなのではないかと思います。

リスクの怖い私は、ついつい先のことが気になってしまいますが、

大好きなものづくりに集中できる環境がある今に全力で向き合うことが、

これからの未来に繋がるのではないかと信じ、編み組細工に取り組む毎日です。

 


観察力

探求心

挑戦心

 

今のところ、私が編み組細工をやる中で感じる、ものづくりに必要なことです。

現在鋭意修業中。

 

 

物数を尽くす

 

世阿弥に倣い、材料の声を聞き、ひとつひとつの作品と向き合って、

じっくり努力を重ねていきたいと思います。

 

 

 

 

 

 

関川しな布研修

 

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深い木々に囲まれた、車がすれ違えないのではないかというくらい

細い細い道を抜けると、周囲を山に囲まれた空間にぽっかりと関川集落が現れます。

こんなところに集落があったのだ。

もしかしたら、私たちの住む浅岐集落よりも秘境なのではないか。。

 

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伝統工芸品 羽越しな布

山形県鶴岡市関川集落、新潟県村上市雷集落・山熊田集落で受け継がれる

しなの木の皮の繊維で織った織物です。

 

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そう、素材がしなの木なのです!

三島町の編み組細工のひとつ、ヒロロ細工の材料として使っている

「モワダ」もしなの木の皮の繊維なのです!同じ!

羽越しな布は糸に縒って織物に、三島町編み組細工では編み布として

山に入る時に腰に下げるスカリや籠として使っています。

 

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しな布は、沖縄の芭蕉布、私が先月勉強に行った葛布と並んで、

日本最古の織物、古代布のひとつとされています。

その歴史と制作工程を学びに、関川しな織協同組合さんが管理する

しな織の里をお伺いさせていただきました。

実はここ、三島町生活工芸アカデミー、昭和村の織姫制度と同じような、

しな布を勉強するための2年間の制度があります。

お伺いさせていただきました当日も、2名の研修生の方にご対応をいただきました。

 

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しな布も自然素材のため、しなの木を倒すところから始まります。

同じ皮を採取するまでの工程ですが、三島町のモワダと少々異なっていました。

三島町では、切り倒して剥いだ皮をすぐ、1か月以上水に浸けて腐敗させます。

腐った状態の皮から内側の白くて柔らかい部分を剥がし、

川でよく洗って干します。(詳しくはこちら

関川では、木から剥いだ皮をロール状に丸め乾燥させ、

繊維を柔らかくするために木灰で10時間以上蒸らし煮ます。

灰で真っ黒になったしな皮を川で洗い、漂白のために米糠に浸けて発酵、

また川で洗って繊維を採り出します。

(詳しくは羽越しな布振興協会のHPに掲載があります)

 

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ほほ~、葛布もそうでしたが、「発酵」させるのですね。

モワダは「腐敗」でした。この違いはどこで表れるのだろう?

その繊維もそれぞれ光沢や艶や深みがある、自然素材ならではの美しい色合いです。

 

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関川集落は人口約200名、そのうちしな糸を績んでいる方が40名くらいいるそうです。

この割合なかなかすごくない?

前述した素材採取はやはり高齢化もあり、できる人が限られているようですが、

織物にするために何より一番時間と根気を要する糸績みは、

昔から女性の現金収入として取り組まれていた日課だったようです。

糸があっての織物。糸までが全体の8割?

実際、関川には織子さんは数える人だそうです。

糸になっていれば、織る作業は早いし簡単(?)。

 

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私たちも体験でコースター織りをさせていただきました。

木綿や絹や葛布とは違う、ちょっとバサバサとした頑丈でしっかりした繊維です。

 

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これ木の皮の繊維でできているのです。

なんとも繊細な。

帽子やカバン、ベストやショール等、ざっくりとした風合いが心地よさそうな

小物がたくさんありました。

新潟市エフスタイルさんでは、しな布を使ったあずま袋などの商品がありました。

 

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モワダと比べると、全体的に色が茶色っぽい印象です。

そして、触った感じもモワダよりも硬くてしっかりしています。

この素材を編み組に入れても可愛いし、モワダを織物にしても風合いが異なる

新しい織物ができそうな気がします。

 

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三島町でも、今期の残ったモワダを関川手法で採取してみる挑戦をします♪

お互いに、貴重な自然素材の文化と知恵を共有し、

守るべき伝統の価値を研磨していけたら素敵ですね。

貴重な勉強の機会をいただけたことに感謝。

とても充実した研修旅行でした。

 

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お昼をいただいた道の駅あつみ「しゃりん」

お刺身9種のって850円。エビ汁?が美味しかったし、おススメです^^