自然と暮らしとものづくり

福島県奥会津三島町2017年度第1期生活工芸アカデミーの日々を綴ります

生活工芸品の価値の変化

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田植え後から、3日ほどしっとりをした雨が降り続きました。

この時期としては例年にない暑さが続いていたので、

植え付けたばかりの野菜苗にとっては、恵みの雨です。

 

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おかげで、大根、小松菜、ほうれん草、じゃがいもの芽が出てきました。

かわいい♪毎日すごい勢いでグングンと伸びています。

 

 

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お百姓さんでもあり、工人でもある三島の方々は、

雨が降って畑に出れないと、ものづくりをするチャンスです。

朝早く(5:30にはすでに)からお隣のご主人の作業場に明かりが灯っていました。

先日作業場を見学させていただきましたが、

現在は6月10日11日にある工人まつり出展に向けて、マタタビ笊と

山ぶどうカバンの制作を追い込んでいるようです。

 

どのお宅にお邪魔しても、お百姓仕事の片手間でものづくりをしています。

そして、そのどれもが素晴らしく緻密で高度な手技です。

 

 

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三島町の工人さんたちが、編み組細工を生活の中で実際に使っていた時代、

彼らにとってお金で買うものこそが「良いもの」であり、

金額が高いものこそが貴重品だったそうです。

それは、工業製品や化学製品や量産製品のような、

自らの手では作り出せない、日常生活には「ない」ものが中心です。

当時の工人さんたちにとっては、自分たちの生活の周りにあるもので、

自らの手で作ったものには、あまり価値を感じていなかったようです。

それが、「伝統工芸品」として認識されることで、

価値が一変するようになるのですね。

 

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芸術性と機能性があり、生活を彩る、職人の手技が活きた

「てづくり」のものが、高価な値のつく「伝統工芸品」として認識されています。

量産できる工業製品は、誰でも気軽に手に届く、使い捨てのインスタントな

価値として認識されている印象があります。

この現在の「伝統工芸品」が、三島町の工人さんたちが、

昔からの暮らしの中で、当たり前に作ってきたものなのです。

 

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ちなみに、三島町の編み組細工が伝統工芸品に認定される以前は、

伝統的工芸品産業振興協会が認定している伝統工芸品は、

江戸の都を中心とした貴族文化から発生したものが主でした。

山村を中心とした庶民文化の技が伝統工芸品に登録されたことをきっかけに、

越後シナ布やアイヌ民藝などの認定が続くようになります。

 

芸術性も高く、緻密な技を必要とする贅沢品としての美しさだけではなく、

生活必需品としてかつては価値を持たずに使われてきたものの技術の高さに、

現代となって注目や評価が集まるようになったのですね。

 

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かつてのお百姓さん、工人さんたちにとって、

現在の伝統工藝品にあたるものって何だったのだろう?

 

今の私たち大衆にとって、これからますます価値が際立ってくるものって

何だろう?

 

どうして伝統工藝品にこれだけの価値が付くのだろう?

 

これからは、どんなライフスタイル、価値観が大切にされるようになるのでしょう。

 


認識や、時代によるこの価値の変遷はとても興味深いです。

普遍的であるもの、大衆的であるものは、価値が薄まり、

特殊性や専門性が際立った、希少なものが価値として高まる…?

 

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情報化、システム化、グローバル化が進むこれからの時代の中では、

どのように価値が移っていくのでしょう…