自然と暮らしとものづくり

福島県奥会津三島町2017年度第1期生活工芸アカデミーの日々を綴ります

てわっさの輝く町

「てわっさ」は、「手」と「技」が合わさった、

会津の方言での「ものづくり」を意味します。

 

毎週第1・3・5土曜日は、生活工芸館にてヒロロ教室が開催されています。

毎回40人以上の方々が集まって、みんなでお茶とお菓子を囲みながら

ものづくりに盛り上がります。

 

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各地から、様々なバックグラウンドのものづくりを愛する方が集います。

編み組細工の聖地でもあるこの三島町へは、県外からもたくさんの人が

技を習いに訪れます。

 

 

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三島町の生活工芸運動の目的として、伝統産業の継承・育成以前に、

現金収入を求めて都市部への人口流出が続き、家族形態の変化や

伝統行事の衰退などにより希薄化した集落の人間関係の修正が

一番にありました。

 


みんなで集まって、おしゃべりしながらものづくりをする。

手元を動かしながらお互いのデザインや技の交換、

他愛ない情報交換が大いに盛り上がり、みなさん笑いが絶えません。

作品への情熱と集中力とで、みなさん本当に生き生きと輝いています。

 

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6月に入って寒い日が続いています。まだみんなでストーブに集まる。

 

 

参加者の平均年齢は65歳前後くらいかな?

教室に通うのは、子育てが終わったり、退職してから始められた人が

多いような印象があります。

横浜で取り組んでいた竹細工も陶芸も、同じような年齢の人が多かったなぁ。


これ、ちょっと引っかかるポイントなのです。

技を手にするために時間がかかる(特に伝統的な)ものづくりって、

余裕のできた老後の趣味として始める人が多いです。

これから時間とお金が必要となる子育て世代の若い人たちは、

興味があっても入りにくい分野だよなぁとつくづく感じます。

技は簡単に手には入らないので、時間を掛けてゆっくりじっくり根気よく

取り組まないと、なかなかものにはなりません。

 

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お昼には、それぞれが持ち寄ったお手製のおかずがたくさん。

この時期は山菜料理づくしです。

 

 

伝統技術が途絶えてしまうことはあまりにももったいないので、

継承者が全くいない状況では、後継者を守り育てることは重要です。

一方三島町では、編み組細工に興味のある人、実際の工人さんは結構います。

そして、圏外からもたくさんの人が興味を持って通ったり訪ねてきたりします。

 

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若い人たちが、仕事がなくて町から出ていってしまうこの町で、

若い人を呼び込んで定住化を促進するには、働く場をなんとか作るか、

仕事を持ってきてもらう必要があるように感じます。

ノマドワークやクラウドソーシングが広がってきてはいますが、

そのスキルもまだそこまで一般的ではないという印象もあります。

 

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そこで、三島町の一番の特色でもある「ものづくり」をキーワードに、

そこからの現金収入と、ものづくりと両立した働き方、暮らし方から、

若い人たちの定住化を目指そうとするのがこの生活工芸アカデミーです。

一方、現金収入としての職場の受け皿がない現状で、ものづくりと両立した

生き方モデルの構築は、三島町としての大きな課題でもあり、

参加している私たちのこれからの不安要素でもあるのです。

 

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生活工芸アカデミーの制度目的と矛盾するようなところがありますが、

1か月時点のふと過ったジャストアイデアを書き留めて置くことにします。


編み組細工の技術継承と人口減少・高齢化解決への町おこし策として、

あえて60歳以上の人を中心とした町づくりに特化してみてはどうなのかな?

若い人が、子育てまで踏まえた生活をする目途が立ちにくいところ、

定年を迎えた(特にこれからは団塊・バブル)世代はまだまだ元気が

溢れているし、退職金や年金がありながらの生活であることを考えると、

町へ定住してものづくりにも集中する可能性が、若い人に比べて

現実的に高いのではないかと思うのです。

 

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実際、定年後に始めた方でも12年の経歴で伝統工芸士を採られる方もいます。

80歳、90歳を過ぎてもまだまだ現役だし、ものづくりをしているからこそ

生き生きとしている高齢者とたくさん出逢えるのも、

私が1か月生活している中で感じた、三島町のとても素敵な魅力です。

 


定年後世帯の移住が、定期的にずっと続いていくような町だったら、

限界集落として消滅してしまうことなく、60歳以上を中心として

活性化していく町なんかも面白いかもなぁと妄想してみたりするのです。

退職後の生きがいづくりと健康促進の先駆的な町、

移住で若さを取り戻す!第二の人生が輝き出す町!とか。

継承が危ぶまれる技の残る地方集落を、高齢者移住と活躍の場にしてしまう。

 

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税、医療福祉、介護、教育とかとか、多様なカーソルから

検討しなければならないのが地方創生の課題なので、こんな単純ではないし、

その集大成としての生活工芸アカデミー生として

受け入れていただいたことは本当に嬉しいご縁だと感じています。

そのために、思ったこと・感じたことをひとつずつ、

小さくはありますが、自分なりに残していってみようと思います。