自然と暮らしとものづくり

福島県奥会津三島町2017年度第1期生活工芸アカデミーの日々を綴ります

アカソ採取

例年にない肌寒さが続き、野菜も山の材料も成長が遅れている奥会津です。

合間にちょっと温かい日が来て、材料の収穫が始まりました。

ヒロロ細工で使用するアカソの収穫です。

町内のどこにでも生えているので、材料の中で一番手に入りやすいものかも。

 

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まずは根元から鎌で採取し、葉をすべて落とします。

花が咲き始めると、葉と花の付け根部分が隆起して素材が真っすぐつるんと

剥けなくなるので、身長が60㎝強くらいになる2週間くらいが採取時期です。

茎を途中で折り、外皮を剥いていきます。

剥いたものを水に浸けておくと、灰汁のようなものが出て水が茶色くなりました。

天気の良い日に、直射日光の当たるところに広げて十分に干しておきます。

 

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なんて手間なのでしょう(笑)

こんなにもめんどくさい文化が、今まで残って続いてきたことがすごい。

そして、これを最初に素材として乾かして使った人は、一体どのような

着想と必要性でこれに行き着いたのか。。

 

アカソ自体は、町内のどこにでも生えている生命力の強い雑草だけど、

これを採取して編み組細工の材料として利用するまでの工程を、

三島町の工人さんたちは実際に自分たちで行っているのだから、本当にすごい。

 

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ヒロロ細工って編み組細工の中では一番知られていないような気がします。

山ぶどうやマタタビ籠は知っていても、私はヒロロ細工を知りませんでした。

アカソ以外の、ヒロロとかモワダとかの材料も、編み組細工に使用できるように

なるまで、地味にすごく手間がかかります。

そして作るのも、一番細かくて地道な作業になります。

たぶん山ぶどうやマタタビと比べても、一番時間がかかるのに、

手間と時間比では販売価格が一番低いのです。

この制作工程を知ると、やっぱり安すぎる気がする。

 

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良く晴れた日陰で、みんなでアカソを囲んで車座になって作業する。

山から聞こえる鳥の声に耳を傾けながら、ついついうっとり眠たくなる心地よさ。

疲れたらお茶とお菓子を広げて、すぐに休憩ミニピクニック。

確かに手間だけを考えると、なんて根気のいる作業だと感じます。

でも、空気や、風や、薫りや、陽射しを感じながら、手元のアカソに向き合う

時間は、とてもとても、幸せなのです。


この作業をやるだけの時間を、材料を、お金を出して買う。

買うのは材料ではなく、この材料採取をするための時間だとしたら、

この時間を一体何に使っているのだろう?

 

お金を稼ぐこと?やりたいことをやること?やらなければならないことをやること?

 

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自分にとって、ものづくりだけに向き合う時間はやりたいことであって、

そのものづくりの一端である材料の採取作業は、

お金を稼ぐ仕事をしていた時にはお金を出して買いたい時間だったのです。

でも、実際現実問題、これではお金は稼げない。

お金がないと、時間すらも手に入らないのかな??

 

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やりたいことをやるための時間を手に入れるために、

やりたくないことを我慢して時間を過ごす。

これは違う。

 

やりたいことをやっている時間で、幸せな満たされた生き方ができるような、

そんな自分になりたいと、思うのでした。