自然と暮らしとものづくり

福島県奥会津三島町2017年度第1期生活工芸アカデミーの日々を綴ります

モワダ素材処理

 

ヒロロ細工の横編み布として使用している白っぽいのがモワダです。

モワダはシナノキの内皮部分で、ここら辺の方言名です。

伝統工芸品の羽越しな布と同じ繊維です。

 

 

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樹に水が良く上がった7月上旬、生活工芸友の会副会長五十嵐喜良さん

ご指導のもと、シナノキ伐採をしました。

すべての材料に共通しているように、うまくきれいな素材を

確保するための期間は、本当に短いです。

この時期を逃さずに作業をするため、山ぶどうアカソの採取と併せて

6月~7月はほぼ連日材料採りです。

 

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直径20㎝以上くらいのシナノキを切り倒し、1mくらいの長さに揃えて

樹皮を剥いでいきます。

 

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つるんとぱきっと、気持ちよく剥けますね。

 

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白くて瑞々しいつやっとした木肌が現れます。

本当に滑らかでキメが細かくて、うらやましくなっちゃう美しい木肌。

 

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剥ぎ取った樹皮を、1か月半ほど水に浸けて腐らせます。

溜池プールを作り、上からおもりを乗せて樹皮を沈めます。

 

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これが2週間ほど経った状態。

外皮が腐って落ちているのがわかります。

水もなんだかドロっと濁って、ほんのり腐敗臭。。。

 

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夏休みが明けて2か月ほど経った状態。

大変香しい、なんとも芳ばしい、ヤバいくらい臭いです。

 

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半端ない腐敗臭を発するプールから、腐敗したシナノキを回収、

内側の白い部分の皮を剥がしていきます。

 

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程よく腐っているものは、厚さ8㎜くらい程の内皮がペロンと剥けます。

今回は一部伐採してから時間をおいて水に浸けたものもあり、

皮が硬くて向けにくかったりするものも多くて苦戦しました。

 

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浅岐を流れる大谷川の清水の流れで、剥がした樹皮の表面に着いた、

ヌメヌメした汚れを流水で洗い流していきます。

 

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手で擦りながら、なるべく繊維を傷つけずに

何重にもなっているコピー紙よりも薄い皮を1枚1枚丁寧に剥いていきます。

 

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なんだか清らかな作業に聞こえますが、結構な大仕事(笑)

葛布の時もでしたが、前傾姿勢で洗い続けるのは腰にきます。

そして奥会津は連日雨あめアメ。

足と手を冷たい流水に浸けたままの作業は、身体が冷えてしんどかった。。

 

 

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洗った皮は天日干しして乾かします。

 


なんとまぁ。

これまたとんでもなく手間のかかった素材だこと。

真っすぐ立つ樹の、しかも皮を剥いで、しかもその内側の薄い皮だけを剥いで

横に編み込んで使おうなんて考えて行き着いた昔の人、恐るべし。

偶然の産物なのか??

どういう経緯でこの素材まで辿り着いたのか、それを知りたいww

ここまでして使用しようとした人の根性と執念がすご過ぎる。。

アカソの採取も大変でしたが、モワダもとんでもない。

やっぱり編み組細工の中でヒロロ細工が一番手間と時間と労力がかかっている、

繊細な作品だと思いました。

 

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そろそろヒロロ細工の勉強も終わりです。

半分以上が材料採取とその処理だったように思います。

 

ひとつの作品には、その見た目としてのモノの背景に、

工人さんたちがこれだけ果てしなく手間暇時間をかけた工程の物語があるのです。

手に取って大切にしていただくたくさんの人に、工人さんの愛と自然への感謝の、

このとてつもない価値が伝わるといいなぁ。