自然と暮らしとものづくり

福島県奥会津三島町2017年度第1期生活工芸アカデミーの日々を綴ります

処暑 禾乃登

 

朝晩の気温がぐぐっと下がり、急に日が暮れるのも早くなり、

秋の気配を感じる頃になりました。

 

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田んぼも実りの時期が近づいています。

稲穂が垂れ初め、天候不順な夏でしたが、順調に稲が育っています。

 

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夏野菜終盤の収穫、金山かぼちゃ。


畑は夏野菜を終え、白菜、大根、春菊…と、秋野菜に衣替え。

発芽率100%で芽吹いた大根は、油断した隙にあっという間に虫に食べられて全滅。

めげずに植え直し、しっかりネットを張って対策です。

 

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さて、そんな実りを楽しみに、豪雪前の冬支度に

山の獣たちもおいしいものを探して活動が活発化している様子。

浅岐周辺にも、クマ、イノシシ、ウサギ、アナグマ、タヌキ等が

田んぼや畑を荒らす被害が相次いでいます。

 

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農作物の被害対策とした有害駆除のため、早速先日取得したわな資格を

活用する機会がやってきました。

今回ははじめてなので、地元の大先輩にくっついて「くくりわな」を設置しました。

 

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構造は至ってシンプル。

獣の通り道に埋めて隠し、踏むと体重でバネが閉まり、

足にロープが括りついて抜けなくなる仕組みです。

 

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特に被害が深刻なイノシシを狙っていますが、イノシシは

顔が地面から近く嗅覚が敏感なため、罠を仕掛けた際の人間の

臭いを警戒してなかなか掛かりにくいそうです。

 

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至るところに出没した形跡(足跡、掘った跡など)があるので、

慎重に出没経路を探してわなを仕掛けます。

ちゃんとわな設置の目印となる証明プレートも設置。

 

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これから毎日見回りです。ひとりでふらふら見回っている最中、

クマさんと会わないことを祈る(笑)

 

 

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先日お隣の集落ではクマさんがわなにかかりました。

岩魚の養殖場のエサと池を荒らしていたクマさんのようです。

すでに仕留められていましたが、はじめてこんなに近くでクマさんを見ました。

 

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体長は140㎝くらい。大きな足。

 

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クマさん用のドラム缶箱わな。

入口に米ぬか、奥にははちみつと、大好物のエサをおとりに

中におびき寄せ、踏み板を踏むと扉が閉まって出れなくなる仕組みです。

 

 

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先日けがをして飛べなくなっているフクロウを保護しました。

眠くて、食べながら目が落ちるふくちゃん。

3日後には元気に山に帰っていきました。

浅岐周辺は、日々たくさんの獣や鳥や虫の気配で溢れています。

同じ自然環境の中、住み分けをしながら人間と獣と鳥と虫などが

一緒に生きているのがこの地域なのです。

 

 

ここには現役を退いた人も含め、たくさんの先輩猟師がいます。

かつては貴重な食料と収入源として狩りをしていましたが、

現在では獣の肉も毛皮も需要はなく、主に有害駆除が中心となっています。

 

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レジャー感覚でむやみに殺すのではなく、

動物も人間も「一緒に生きていく」環境にあるこの土地だからこそ、

ずっと昔から人と獣の適切な距離を保つことが必要になってくる。

 

まだ体から湯気が上がる、あれだけ大きな獣の亡骸を見るのは、正直怖い。

ひとつの動物の命と考えると「かわいそう」なのかもしれない。

けれど、この厳しい自然環境の中を生きなければならない

三島町の住民がいるのも確かなのだ。

 

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その中で、必要に応じて「いのちをいただく」というのは、

自然界の循環の、当然の一部なのではないか。

害獣被害の深刻さや、動物愛護からの批判の声を、今までメディアの中で

耳にしてきましたが、ここで実際に生活をしているからこそ感じることができる

この感覚が、私にとっては一番正しいリアルのようです。

 

私を生かしてくれている、この「自然」に心からの、感謝。