自然と暮らしとものづくり

福島県奥会津三島町2017年度第1期生活工芸アカデミーの日々を綴ります

漆麗し

会津若松にて開催されていた、会津ブランドものづくりフェア

行ってきました。

その中のひとつ伝統工芸フェアには、日頃アカデミーの先生として

お世話になっている三島町編み組細工の伝統工芸士さんたちの紹介

ブースもあり、自分ではないのに、なんだか、勝手に鼻高々(笑)

えへんっっっ

 

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それにしても、改めて、こんなにすんごい方々に、直々に伝統の技を

教えていただいているということ、身が引き締まります。

こんなにも一流の技を持つ大先生方が、人間的にも技術的にもまだまだ

未熟な自分に真剣に向き合ってご指導いただいていること、

その想いに応えられるような作品が作れるように、一目一目丁寧に、

精いっぱい編み組んでいこうと思います。

 

 

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会津編み組細工、会津塗、会津本郷焼会津絵ろうそく、会津木綿、

赤べこ、起き上がり小法師・・・

会津って実はすごくたくさんの民芸品があるのです!

 

 

 

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先日三島町栃の木伐倒を見学させていただきました。

栃の木は水分量や木の性格から、お椀や彫り物に使われることが多いそうです。

今回フェアの一環で、会津若松まちなかのものづくりツアーで、

伝統工芸に指定されている会津塗に携わる伝統工芸士さんの

工房を見学させていただきました。

素材となる栃を山から切り倒す工程を体験してからのこの展開、

やっぱり暮らしの中で手にする「もの」が秘める物語って、最高に面白い!!

 

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まずお邪魔させていただいたのが、木を轆轤でお盆、お椀、茶托、お皿、

コップなど丸いかたちに削っていく木地師さんの長谷川木工所

 

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こちらの特徴は、成型していく際に轆轤に着ける刃のかたちだそうです。

すべてこの工房で職人さんたちが鉄を打って手作りしているそうで、

その種類はものすごい数が掛かっておりました。

 

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大鋸屑に埋もれそうになりながら作業をしている職人さんたちの手元からは、

次から次に均一な真ん丸の茶托?が削り出されていきます。

木地の厚さとか、高台の大きさとか、椀の曲面とか、ほんのちょっとの

調整をすべて手の加減でしているのですよ!

電動轆轤で勝手に回っているのだから、刃を充てる力加減をちょっと変えると

一気に木はシュルシュル削られてっちゃう。削ったらもう戻らない。

同じものが、生まれてくることが、スゴイ。これが職人なのだ…

 

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こちらでできたボディの木地に、漆で色を塗ってお化粧するのが

塗師さんです。お次は、伝統工芸士吉井信公さんの工房に行きました。

中学卒業後から、64年間漆に携わっているそうです。

 

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会津塗代表の、虫が葉を食べた後のような様子をした「金虫喰い塗」を

見せていただきました。

 

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漆を塗って、麦を貼り付けて、別の漆を重ねて、乾かして、削って、

また漆を塗ってを繰り返し、ひとつの作品ができるのに、

48工程1か月ほど掛かります。

 

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先ほど木地師さんが削っていた無垢の木に、

どんだけ厚化粧なの?!ってくらい、何度も何度も何色も何種類の

漆が重ねられては削られて、すごくゴージャスな姿に変身しちゃいます。

 

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漆を塗る筆は女の人の人毛なんだって!へ~。

 

そして、最後に、漆器に金銀プラチナ等の金属をのせていく蒔絵師さん。

伝統工芸士川俣博さんの工房です。

 

もう、もう、もう、もう!!!!

とてつもなく繊細で、緻密で、とんでもなく美しいのです!!

 

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アカデミーで習っている編み組細工は、自然から採ってきた素材の

荒々しさ、逞しさ、武骨さ、野性味が残る大胆な力強さが立ち上がる姿が魅力です。

それに対し、なんと言いましょうこの高貴さ。

手に取ることを躊躇してしまう、自分が手に取ることが許される身なのかを

問うてしまうような、圧倒的な貫禄を放っているのです。

 

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猫やカヤネズミの毛を使った、数ミリの細さの筆で、

人の手で描くとは思えないほどの線を引いて、そこに箔を落としていきます。

緻密な作業はとてつもない集中力を必要とするようで、

電話や来客のない朝5時~9時の時間に作業をするとのことです。

 

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蒔絵のイメージであるような時代ものや絵巻ものは、

徹底的に歴史研究や時代研究をしたうえで描くそうですが、

それ以上に動物や風景などの実写は難しいそうです。

いかに本物らしく忠実に描くか、線一本数ミリの陰影に神経を注ぎ込んで

完成した作品は、川俣さんのいのちの結晶のようで、

きっとその生命力に圧倒されたのだと思います。

 

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1本の漆の木から採れる樹液は200gほど。

 

今まで漆って、実は暮らしの中に取り入れるのに少し距離を感じている

ものでもありました。

どうしても古風になりすぎて、モダンに、オシャレに使いこなせないって言うか。

(私のセンスの至らなさなのですが…)

でも、抗菌性が高くて、湿気が高いほどよく乾き、粘着力が強くて

塗面が丈夫って、まさに日本の暮らしに最適な塗料素材だよね。

 

中学?高校?生のとき、谷崎潤一郎陰翳礼讃の一節にあった、

暗い電灯の下、漆椀の中で揺れる味噌汁の澱みの表現に強く心を動かされて、

この美しさを求めるような人生が送りたいって確信したんだよね。

これって、漆が醸し出す静かで優しい、こっくりとした温かさを

なんだか身近に感じて、こんな安らぎとなる存在に共感したのかもしれない。

 

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なーーーんて、自然から生まれるものが与えてくれる感動とか着想って、

とんでもない自分と出逢わせてくれたりするのです。

 

やっぱり、民藝が、工藝が、ものづくりが大好きだぁ♪♪