自然と暮らしとものづくり

福島県奥会津三島町2017年度第1期生活工芸アカデミーの日々を綴ります

かんじき作り

三島町で、浅岐での暮らしの必需品「かんじき」を作りました。

かんじき、知ってますか?

 

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積もった雪を歩く際、足が埋もれないように体重分散したり滑らないように、

長靴に付ける円形の道具です。

スノーシューの昔から使われていたバージョンみたいなもの。

構造は、丈夫な木の縁にロープを結んで、そこに長靴を乗せてロープで

固定して履くようになっています。

 

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かつては、今よりもさらにたくさんの雪が降ったそうですが、

今のようにブルもロータリーも除雪機もスノーダンプもないので、

雪をかくのではなく、かんじきで踏み固めて道を確保していたようです。

しかも、ゴム製の長靴なんてものもなく、わらじ、げんぺい、深靴等に

かんじきをつけて、20キロとか30キロの荷物を担いで隣村まで歩いたり、

片道3時間くらいかけて学校に通っていたそうです。マジか。

今でも特に雪山に猟に入る鉄砲撃ち(と、猟師のことをここら辺では呼ぶ)は

普通に使うし、除雪をする際にちょっと深く積もった雪の上を歩くときには

使用しています。

 

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みんな持ってるし、蔵から何足もごちゃごちゃ出てくる。

多く見るのは、真ん丸のものと楕円形のもの。

ロープの掛け方(結び方)は、作る人によってちょっとずつ違うみたいだな。

用途や使い分けは、聞く人によって様々で、好みなのかなぁ?という印象。

 

 

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今回かんじきの作り方を教えていただいたのは、浅岐のお隣

間方集落の工人さんです。

間方は三島町で一番山深いところにあり、雪の量も三島で一番深いところです。

ここ!間方はかなりディープで、聖なる場所ですww

三島町はここから拡大したのではないかと言うような歴史も古く、

何より自然との共存の在り方や文化の痕跡が今も強く残っています。

なんか、神様みたいな、仙人みたいな、妖精みたいな、

生きる叡智に溢れたような、ものすごい貴重な人がたくさんいるのです。

2月には、間方でかんじき作りと雪山散策を楽しめるツアーがあるので、

強く参加をおススメします。

 

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さて、かんじき作りについてデス。

縁材は一般的に指の太さくらいの根曲がり竹を、水が上がらなくなった

晩秋くらいに採ってきます。(マタタビと同じ10月中旬以降)

そのままでは硬いので、お湯に浸けたり(温泉に入りながら曲げるんだって)、

火で焼いたりして円形に曲げた状態で針金で固定します。

1か月以上その状態で放置すると、形が固定するようです。

竹以外には、リョウブやクロモジ、グミ、マタタビ笊の縁にも使用する

クマゴヅルなどを使います。

(ただ、クマゴヅルはとても弾力があって強いので、雪崩で埋まったり

雪の中に滑落したときに折って脱出できないため、避けることもあります。)

 

このちょうどよい手頃な材料を採取してくるのと、円形にする作業がとても

難しいそうです。7割はここ。

材料採取と材料作りのたいへんさ、労力と時間と質の多くを決めるのは

編み組細工も、すべてのものづくりにも共通です。

今回は用意いただいた円形の材を使ってスタート。

 

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縁に長靴を乗せて固定するロープを張っていきます。

六角形の外縄、中心部の内縄、足を固定するようの脱着縄の順で結びます。

ロープの結び方に特徴があり、基本は左綯いです。

!!

なんと、先日のしめ縄と同じ、聖なる左綯いではないですか。

どうやら、左綯いの方が強度が高いそうです。

雪山を全体重を乗せてガシガシ歩くものなので、強度大事。

縒りをしっかりかけて、きつーくがっちりしっかりぎゅぎゅっと締めて締めて

編んでいきます。

 

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そして、固定の際の結び方。これが今回の一番のポイント。

絶対緩んだり外れたり切れたりしないための、「男結び」です。

かんじき作りにはこの結びは外せないので、何度も何度も練習しました。

その後調べていたら、どうやら雪国生活で多く使われる独特な結び方のようですね。

踵に引っかける部分と、つま先を固定させる部分に脱着用の縄をかけたら完成です。

 

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真っ白な雪の中で、元気が出る明るい竹色とオレンジロープがカワイイ♪

早速朝いちで降り積もった雪の上をお散歩です。

 

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むむむ、うまく歩けるようになるまでにはもう少し修業が必要だぞ(笑)

年明けの熊猟同行に向けて、かんじきウォーキング特訓しなきゃだね。

 

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お昼ご飯には、先日のそば打ちに引き続き、間方流のそば作りを体験

させていただきました。

捏ねるところまでは同じですが、間方では包丁では切らずに、

パスタマシンみたいなものに入れて絞り出すのです!

 

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だから、麺が丸い。

この方がコシがあっておいしいのだそう。

うん、細かい違いがわかるほどそばを食べ比べてないので(笑)、

角ばってても丸くても、細くても太くても、三島のそばはどれもおいしいのです。

 

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ちなみに、今回かんじきの補強材料として使った人工物である、

針金はかつては大麻の繊維を縄綯いしたもの、

ロープは山ぶどうの皮をお湯で煮て柔らかくしたものやモワダを縄綯いしたもの

だったそうです。

雪国の冬仕事でもある炭焼きや鉄砲撃ちで山に入るので、すぐにダメになっては

作り直して直して使っていたそうです。

 

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丈夫で強くて耐久性も機能性もある化学繊維のおかげで、

便利になった部分はとても大きい。

優れた技術の発展で、今こうして便利に快適に暮らしていられることは

本当に素晴らしいと思います。

同時に、それがなかったちょっと前の時代、身の回りにあるもの、

自然という莫大な資源の中から、暮らしに必要となるものを

生み出していたこの知恵は、すごく尊くて、自然と暮らしが隔離されている

(ような印象の)現代、改めて見直してみることで、何か大切なことに

気付けるような気がしました。

 

 

かんじき履いて、毎朝雪を満喫しながらワッシワッシお散歩するぞ~~!