自然と暮らしとものづくり

福島県奥会津三島町2017年度第1期生活工芸アカデミーの日々を綴ります

サイノカミ

1月15日小正月

三島町では国指定重要無形民俗文化財に指定されている「サイノカミ

という伝統行事が、各集落で行われます。

名入サイノカミ

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五穀豊穣、無病息災などを祈願して、集落ごとに御神木飾りを作り、

お正月飾り等と一緒に燃やします。

お正月にお迎えした歳神様を送るための左義長で、

どんど焼と呼ばれるところが多いみたいですね。

平日でもみんなこの行事のために仕事を休み、

集落中が一体となる年中行事のひとつです。

 

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この興味深い行事に、朝から各集落を回遊してきました。

集落ごとにサイノカミのかたち、作り方、装飾、段取り等ちょっとずつ違いが

あり、どれが本物とかはありませんので、最初から最後まで見学させていただいた

桧原集落のサイノカミを中心にレポートしてみます。

 

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1月15日は青空とキラッキラの太陽で、最高に天気が良かったのです。

そして、放射冷却の影響で今冬最高に冷え込み、

三島町の各地でマイナス10℃以下の猛烈に寒い日でもありました。

水道が凍ったり爆発したり、トイレが壊れたり、水道に氷柱ができたり、

仏壇の花が凍ってたり、町中が寒さでてんやわんやしていました。

 

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抜群のコンディションのもと、まずは御神木の切り出しへ。

御神木は、毎年集落の厄年の男性が提供をすることになっています。

みんなでかんじきを履いて、御神木のある杉林まで歩いていきます。

あ、御神木は山からいただいてくるものでもあるので、基本的に

女の人は触れません。(山の神様は女だから、女性が入ると嫉妬して

災いが起こったりするんだって~。)

 

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切り出す前には御神木にしめ縄を巻いて、お神酒とスルメとお塩で清めてお祈り。

栃の木伐採の時もやってました!)

 

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切り出しは区長さんが斧で。

慣れてないと、同じところに当てることが大変そう。

御神木は基本杉ですが、集落によっては雑木のところもあります。

 

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10mくらいの杉の木を、てっぺんだけ枝を残してあとは整理し、

サイノカミを立てる神社の前(立てる場所を「ばんば」と言う)まで

引っ張っていきます。

 

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御神木の周りに、稲わらを巻いていきます。

4人が巻いて、2人が縄で結わく。これすべて持ち場が決まっているそうです。

何をやるか役割分担ができていて、自分のところ以外は手を出さないとのこと。

 

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てっぺんに十字をつけて、その上にはオンペイと言うふさふさ流れるように

切った和紙の飾りを付け、その下には稲わらを束ねた玉をふたつ付けます。

サイノカミ自体が男根崇拝とか子孫繁栄を意味している部分もあるようです。

 

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飾りとなる「オンペイ」は、かつて紙が貴重だったころ、

反故する紙を取っておき、供養する意味も込めて燃やしていたそうです。

お正月の鏡餅の下に敷いていた生紙を子供たちが各家から集めてきて、

それを使うこともあるようです。

オンペイ作りは、集落の長老たちのお役目。

 

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いよいよサイノカミを立てるときには、てっぺん部分を四方から梯子で支え、

根元を人の力で起き上らせていきます。

どの集落でも年々人出が少なくなっているため、全員で力を合わせて

立ち上げて行きます。

 

桧原サイノカミ

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根元に豆殻、稲わら、お正月飾り等を添えると出来上がり。

 


宮下サイノカミ

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御神木は山桜でした。

中央にご神木を立て、その周りを竹で社を組み、

豆殻、稲わら、お正月飾り、杉葉の順に詰め込んでいきます。

くす玉のような木屑の塊がぶら下がっていました。

ここでは火を高く上げると言うより、蒸し焼きみたいにするようです。

 

大登サイノカミ

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三島でいちにを競う高さと美しさを誇るサイノカミです。

ここは何より、作業の連携と協力体制が素晴らしいのです。

先輩方が音頭を取り、それぞれが自分の役割を徹底して効率的に

作業されている印象です。熱量が心に響いてくる。

掛け声とリズムが力強く心地よく、梯子を使って大きなサイノカミを

立ち上げる様子は圧巻でした。


滝原サイノカミ

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この集落には田んぼがありません。

そのため、御神木を包むのは稲わらではなく、すべて茅を使います。

沼沢湖の冷たい風が降り降りてくる厳しい寒さの中で、

みんな鼻水凍りながら作業してました。


滝谷サイノカミ

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ここは14日の前日仕込み。

御神木のかたちや扇とオンペイの飾り方が独特です。

 

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夜6時~7時くらいに、いよいよ点火が始まります。

大相撲初場所が始まっているので、それが終わる頃、

どこの集落でも大体同じ時間に点火になります。

御神木を提供した厄年の男性が着火をします。

集落によっては、決まった家の方が着火石で火をつけたりするそうです。

 

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天気が良くて空気が乾燥していたため、一気に火が回ります。

ゴーゴー昇る火と、パンッパンッという破裂音。

実は御神木の周りに竹を巻いており、爆竹入れたりなんかもして

音でも景気良く楽しむ工夫がされています。

 

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最後、てっぺんに昇った火で一気にオンペイが燃え上がり、

紙がぶわっと空高く飛び立ちます。

昇っていく火を見つめていたみんなから一斉に歓喜の声が沸き立つ瞬間、

2018年は間違いなく素敵な年になる!そう確信しました。

 

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残った火でそれぞれ持ち寄ったスルメイカと餅を朴木に挿して焼いたり、

厄年の男性によるみかん投げをしたりのおもてなしがありました。

 

また、厄年男性や新婚男性、二十歳や還暦等の境の男性を雪の中に

放り投げる儀式もありました。

 

サイノカミを見守るみなさんの表情が、表現できないくらい穏やかで安らかで、

ここでこの瞬間をご一緒できたことが何よりうれしい。

本当にありがたいものを見せていただき、ありがとうございます。


もしサイノカミにご興味がありましたら、

2月10日(土)に雪と火の祭りにてサイノカミの再現がありますので、

ぜひ万全の防寒をしていらしてください!!

アカデミー生もみかん投げで参加する予定なので、お待ちしております♪