自然と暮らしとものづくり

福島県奥会津三島町2017年度第1期生活工芸アカデミーの日々を綴ります

三島町お正月料理

 

先日そば打ちでお世話になった大好きな森の校舎カタクリ

にてお正月郷土料理の体験をさせていただきました。

 

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三島町はかつて只見川を境に川の両端は違う村でした。

そのため、小さな三島町内でも、郷土料理と言っても集落ごとに

ちょっとずつ違ったり、こっちの集落にはあってもあっちの集落には

なかったりするものもあります。

今もそうですが、交通手段が限られているため、カタクリのある西方集落と、

川向の山の中にある浅岐集落では、交流も限られているようです。

今回はカタクリ地区のお正月料理です。

 

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まずこちらが、元旦に神様にお供えするもの。

鮭頭のお口に尻尾がぶっ刺さっています。

こうすることで、頭から尻尾まで1本丸ごとを意味するそうです。

西方地区は山を越えると新潟なので、昔からお正月前には行商の方が鮭を

売りに来ておりました。海のない山奥の奥会津では、こんなに大きなお魚は

お正月にだけ食べれる最高のご馳走だったに違いありません。

身を輪切りにして焼く家も多いようです。

 

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 特徴的な郷土料理をいくつかご紹介します。

 

〇 こづゆ(写真左上)

人参、里芋、木耳、丸麩、糸蒟蒻、ちくわ、笹かま等をホタテの貝柱でとった

出汁で煮込んだ、あっさりとした優しいお汁みたいなもの。

会津のめでたい席には欠かせない一品です。こづゆ椀という平べったくて

小さな漆に盛られて出てきます。幸せが散りばめられたような賑やかで

温かいお椀に心がぽっとなります。

 

〇 お平(写真右下)

大根、人参、里芋、牛蒡、椎茸、糸昆布、焼豆腐、さつま揚げの煮もの。

会津のおでんみたいです。大きく切って面取りするのが美味しく作るコツ。

 

〇 山椒にしん(写真右真ん中)

芽吹くころの山椒の葉を茹でたものと(冷凍保存していたものを使用)、

昔から貴重なタンパク源だった身欠きにしんをあえて、酢酒醤油砂糖で

漬けたもの。にしんってちょっと臭い印象でしたが、山椒の香りと

良い具合に引き立てあって、お気に入りの会津料理です。

 

〇 イカ人参(写真下真ん中)

短冊切りした人参に裂きイカと白ごまを加えて、醤油酒味醂砂糖で味付け。

シンプルだけどパクパクシャキシャキ、程よい塩加減がたまらない。

 

 

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女手ばかりで杵と臼でおもちもつきました。

絹豆腐を潰して油で炒めて出汁醤油で味付けした「ころころ」という

お汁でおもちをいただきました。

つきたてのおもちって弾力があっておいしいの!

 

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きなこも、大豆を石臼で挽いて作りました。

挽きたてきなこは、口に含んだ瞬間に大豆の香りがふわってなるの。

 

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山で木がたくさんある会津では、お膳のお皿はすべて漆器だったんだよ~。

ふすま(小麦を粉するときに出るカスみたいなの)で野菜を漬けると

柔らかくなるんだよ~。

 

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食べてくれる人はどんな人?

何が好きで何を求めてどうしたら喜ぶ?

今ある食材は?旬なものは?地域的な食材は?

味付け加減、メニュー同士のバランスは?

盛り付け方、おいしそうなデザインは?

 

段取りも、要領も、計画性も必要。

経験だって、知識だって、技術だって必要。

センスだって、デザインだって、編集だって必要。

でも正解なんてないし、食べる人によって感想だって違う。

それでも、本当に満たされる料理って、心がいっぱいになる。

 

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いつも元気で、本当に楽しそうに豪快にお料理をするカタクリのお母さんたち。

食材に向き合う瞬間瞬間が笑顔で溢れていて、手の中で踊る食材が

なんだか優しさに包まれている感じ。

大家族を支えてきた大ベテランのお母さんたちはちょっとやそっとのことでは

動じることなく、食材に、お互いに感謝しながら丁寧にお料理に向き合う。

そして、それがちゃんとお料理を通して心を満たす。

これって、もしかして、最強に理想的なものづくりモデルなのかも。

やっぱり三島町で出逢うのは、ステキにクリエイティブな工人さんたち。

私もこんな風に、届ける人の心を満たせるものが作れるような工人になりたいなぁ。

 

そのための、平穏で、満たされた心の状態の自分。

今の自分は、どんな気持ちで編み組細工に向き合っているのかな?

 

ものづくりの大切なヒントをいただいた、貴重なお料理体験でした。

カタクリのお母さんたち、ご馳走さまです。